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【DG×りそな提携の軌跡#2】決済編:法人間のキャッシュレス決済を推進し、全国の中小企業のDXを支援する

デジタルガレージとりそなホールディングスは、決済事業の強化・シェア拡大と次世代Fintech事業の推進を目的に2022年、資本業務提携を締結。さらに2023年には提携を強化し、スタートアップ投資を通じたオープンイノベーション事業でも協業をスタートした。連携の具体的な内容や、目指す未来について、全4回の連載でお届けする。

第2回目のテーマは「決済」。決済領域における提携の背景や展望について、両社の対談からお伝えする。


<Speakers>
株式会社りそなホールディングス グループCDIO 執行役 持田 一樹
りそな決済サービス株式会社 常務取締役 岩永 克也
株式会社デジタルガレージ 取締役 副社長執行役員グループCOO 踊 契三
株式会社デジタルガレージ 執行役員 山中 隆治


決済事業の提携強化で、最新決済サービスの提供範囲を拡大

デジタルガレージとりそなホールディングスは2023年12月、資本業務提携を強化。決済事業に関しては、両グループの一体営業体制を構築し、りそなグループの法人顧客50万社へ、デジタルガレージの最新決済サービス提供を狙う。そのために、大きく3つの施策の実行を目指す。

  • デジタルガレージによる、りそな決済サービス株式会社(りそなホールディングスの決済子会社 / 以下: 「RKS」)の株式取得と持分法適用会社化
  • デジタルガレージの最新の決済プラットフォーム提供と、人材の相互派遣
  • りそなグループの800超の有人店舗や、3,000名規模の法人ビジネス人材と連動する一体営業体制の構築および営業力強化

2024年4月には、計画通りRKSを持分法適用会社とし、第一弾のソリューションとして非対面決済サービス「りそなPayResort+」の提供をスタート。りそなPayResort+は、デジタルガレージグループである株式会社DGフィナンシャルテクノロジーが提供する決済代行サービス「VeriTrans4G」をコアとした、オンライン決済で利用されるさまざまな決済手段を一括で提供し、ECビジネスの可能性を広げる決済サービスだ。

提携で、法人間キャッシュレス決済というブルーオーシャンに挑む

決済領域の提携強化は、両社にとってどのような意味があったのか。デジタルガレージとりそなホールディングス、双方の事業責任者に聞いた。

:日本は今、「2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にする」ことを目標に取り組んでいます。その比率は堅調に上昇しており、前倒しで達成の見通しです。しかし、それでも他の先進国や進んでいる諸国と比べて低水準なことに変わりなく、キャッシュレス化の余地はまだまだ大きいです。特に、法人間の取引に関してはデジタル化が遅れており、ブルーオーシャンと言ってよいのではないかと思います。そのような領域に、りそなさまと一緒に参入していけるのは、提携の一番の魅力です。

特に、SMB(中小規模事業者)の強固な顧客基盤は重要です。デジタルガレージはこれまで事業戦略上、顧客開拓のメインターゲットは比較的大企業になっていました。その結果、事業成長を実現した一方でSMBへのリーチについては課題感がありました。りそなさまと協業させていただくことで、伸び代の大きいこのマーケットに、私どものサービスをより届けられると考えました。

もう1つは、金融に関する専門的な知見です。デジタルガレージグループは決済システムを提供するなかで、常々「お客さまである小売加盟店の経営の改善に貢献できるサービスを提供したい」と考えていました。資金面の支援などファイナンス領域までお役に立つ事ができればと考え、さまざまな事業展開を始めています。お客さまの経営が上向きになれば、結果として私どもの収益拡大にもつながります。

一方で、金融領域への進出は簡単ではありません。業登録が必要であったり、監督省庁への対応や専門的なシステム等、それらの専門知見が豊富な企業との協業は必須です。長年に渡り金融領域でさまざまなサービスを提供されてきたりそなさまとの連携があれば、難易度や参入障壁が高いビジネスへの参入も成功させられると考えました。

持田:りそなホールディングスとしては、決済事業における提携強化の背景には、外部環境の変化がありました。世界中で次々に、新しい決済手段や会計業務効率化をおこなう金融ソリューションが生まれるなか、単一の決済手段を提供しているだけでは、お客さまのニーズに応えられなくなってきたのです。そこで、我々がもっていないソリューションを、デジタルガレージグループさまと協力して提供できないかと考えたのです。

岩永:さらに我々からすると、決済手段の多様化により、これまで基本的に銀行がもっていた決済データが見えにくくなっていることも課題でした。お客さまの取引情報が見えづらくなり、その結果、経営状況の把握や、適切なソリューションのご案内が難しくなったのです。そのような流れに歯止めをかけるためにも、デジタルガレージグループさまと協業し、多様な決済手段を我々が提供できるようにすることは重要でした。

持田:りそなホールディングスは数年前からデジタル分野に力を入れ、金融デジタルプラットフォームをはじめ、さまざまな構想の実現に向けて取り組んできました。取り組みを続けるなかで、さらなるイノベーションを生み出すために技術力のある会社との提携に力を入れるようになりました。

デジタルガレージさまは、キャッシュレス決済市場におけるリーディングカンパニーであることに加え、決済以外のソリューションも幅広く展開しています。銀行業が主軸だった我々とはまったく違うリソース、ノウハウをもっており、稀有な企業だと考えていました。協業を通して、従来の銀行の常識や枠組みにとらわれない「次世代リテールサービス」の実現ができると考えました。

決済領域の専門性が強化され、価値提供範囲が拡大

両社の結びつきを強化し、ヒト・モノ・情報がさらにスムーズに行き来できるための提携強化だが、発表されてから約1年。すでに、さまざまな成果が生まれつつある。

岩永:今回の提携強化によるりそなホールディングスのメリットは、提供サービスの拡大だけではありません。デジタルガレージグループさまからの出向者を受け入れることで、社内の雰囲気も大きく変わったのです。これまで諦めていたお客さまからのニーズについて「どうやればできるのか」と粘り強く考えられるようになりました。

持田:決済事業の提携強化によるメリットについて、シンプルにキーワードでまとめるなら「商品性が拡充され、りそなホールディングスの決済領域における専門性が強化された」と、とらえています。その結果、社内では「ここまで踏み込んでも大丈夫」とアグレッシブにサービス提供ができるようになったのです。これまで決済領域に関しては、そこまで高い専門性を有しておらず、保守的に考えざるを得ない状況でした。しかし、デジタルガレージグループさまとの提携により、挑戦できる範囲がより大きくなったのです。

山中:デジタルガレージグループとしては、連携の狙い通り、SMBへのアプローチが可能になったことが大きなメリットでした。りそなさまの約50万の法人顧客さまへ向け、決済ソリューションを展開することで、さらなる事業拡大につながると考えています。特にりそなさまのお客さまは、口座振替といった銀行独自の決済手段を活用しており、デジタルガレージグループがこれまでアプローチできなかった層です。加えて、りそなさまの800超の有人店舗や3,000名規模の法人ビジネス人材と連動することで、より強力な営業基盤が構築できると考えています。

決済のデジタル化を進め、新しい決済ソリューションの共創を目指す

最後に、両社の今後の展望を聞いた。

:引き続きりそなさまと協力し、デジタルガレージグループが手がける決済サービスのさらなる顧客開拓を進める予定です。特に、国内の9割超を占めるSMBのデジタル化は、日本経済にも大きく貢献するものと考えます。従来のやり方にとらわれず、両社で保有する多くのデータの活用、生成AI等の最新テクノロジーも取り入れながら、全く新しいソリューション開発に挑戦したいと考えています。
さらに、決済領域にとどまらず多様化する顧客ニーズに応える次世代フィンテックサービスを共同開発し、両社の顧客向けに提供していきたいと思います。

持田:踊さんがおっしゃる通り、キャッシュレス化は世界的に進んでおり、この流れは不可逆だと思います。「リテールNo.1」を掲げている、りそなホールディングスとしても中小企業のDX支援をさらに進めたいです。そのためにデジタルガレージグループさまと力を合わせ、新しいソリューションの共創はもちろん、お互いがすでに提供している既存ソリューションのブラッシュアップにも一緒に取り組めればと考えています。

岩永:りそな決済サービスとしては、地方銀行との連携強化も力を入れたい取り組みの一つです。DXに課題を持つお客さまは全国にいらっしゃると思います。そのため、当社の「りそなPayResort+」を地域金融機関の商品として提供いただき、地域金融機関のお客さまの課題解決へのお手伝いができれば良いと考えています。

持田:我々はよく社内で「これから先は、他の銀行がライバルではない」と言っています。世界中の金融サービスと比較されるなか、それでも選ばれるサービスを提供しなければ生き残れません。激しい競争に勝つためにも、引き続き、社外のプロフェッショナルとの協業を積極的に行っていければと考えています。

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