CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.74 『2022.3月期第2四半期決算サマリー[IFRS](連結)』

〜連結税引前四半期利益は、前期比4.5倍の274億円と過去最高益を更新〜

 本日の取締役会の承認を受けて、2022年3月期第2四半期決算短信[IFRS]を発表いたしました。

Ⅰ. 2022.3月期第2四半期決算サマリー

 2022.3月期第2四半期連結累計期間(以下、2Q累計)は、収益40,109百万円(前年同期比2.1倍)、税引前四半期利益27,425百万円(同4.5倍)と大幅に過去最高益を更新いたしました。また、全セグメントとも前年同期比増益を達成することができました。インキュベーションテクノロジー(以下、IT)事業において、投資先公正価値が大幅に上昇したことに加え、フィナンシャルテクノロジー(以下、FT)事業の決済取扱高が引き続き好調に拡大したことによります。マーケティングテクノロジー(以下、MT)事業は、主力のデジタルプロモーション事業が、金融関連を中心に引き続き拡大しました。ロングタームインキュベーション(以下、LTI)事業では、㈱カカクコムの業績が回復基調となりました。

以下、セグメントレビューとなります。

<FT>フィナンシャルテクノロジー事業

〜FTセグメントの決済取扱高は前期比18%増と好調に推移〜
 FT事業の2Q累計収益は5,191百万円(前年同期比9.3%増)、内、主力決済事業は前年同期比14%増と好調に推移しました。また、システム安定稼働と拡充のための開発投資を継続し、税引前四半期利益は2,228百万円(同6.0%増)となりました。
 決済取扱高は、1兆6,831億円(同18%増)、決済取扱件数は、3億4,087万件(同12%増)と、二桁成長が継続しています。デジタルコンテンツやEコマース等の決済が引き続き拡大していることに加えて、旅行関連や外食関連の決済が伸長しました。注力領域である対面決済の取扱高は、1,165億円(同69%増)と大幅に伸長しました。
 一方、長期視点での決済インフラ整備として、最先端のデータベースシステムを構築し、あらゆる業種の企業が急速にEコマース化する中で、急増している決済処理トラフィックへの対応を継続しております。
 以下、FTセグメントのP/LとKPIのハイライトについてのスライドをご覧ください。

 すでに始まっている3Qでの動きも、コロナ禍で減速していた経済活動も、急速に以前と同じようなレベルまで戻ってきているように感じます。
 最後に、FTセグメントでの過去3カ年の4つの成長領域(海外大手EC、公共料金、暗号資産、ヘルスケア)の取扱高推移をピックアップしました。これらの成長領域は今後もグループを挙げて成長の下支えをしていきたいと思います。

<MT>マーケティングテクノロジー事業

〜MTセグメントはデジタルアド取扱高が26%増と順調に伸長〜
 MT事業の2Q累計収益は、6,315百万円(前年同期比4.2%減)、税引前四半期利益は370百万円(同44.2%増)となりました。主力のデジタルアド取扱高は、157億円(同26%増)、特に当社が得意とする金融関連の取扱高は、91億円(同37%増)と、順調に伸長しました。

<IT>インキュベーションテクノロジー事業

〜営業投資有価証券残高は前期末比で30%増加の615億円と大幅に伸長〜
 IT事業の2Q累計収益は、16,229百万円(前年同期比2.9倍)、税引前四半期利益は、15,522百万円(同3.1倍)となりました。
 設立当初から資本、事業両面で提携、サポートしてきた米国Blockstream社が2021年8月に2億1,000万ドルの資金調達を実現しました。これらにより、投資先の公正価値が大幅に増加する等、営業投資有価証券残高は61,493百万円と、前期末比で30%増加しました。当セグメントの戦略投資エリアは当初日本と米国シリコンバレーを設定していましたが、近年は中国を除くアジア地域、中でもエマージング・グロースのインドや北米への投資を加速してきました。米中対立が鮮明となるなか、今後も中国リスクを内包しない投資戦略を継続していきます。
 以下、ITセグメントハイライトのスライドをご覧ください。

<LTI>ロングタームインキュベーション事業

〜カカクコムの回復基調・暗号資産ビジネスは野村ホールディングスと資本業務提携〜
 LTI事業の2Q累計収益は、2,027百万円(前年同期比3.7%減)、税引前四半期利益は、1,134百万円(同87.6%増)となりました。
 持分法適用会社である㈱カカクコムは、食べログ事業の回復や求人サイトなどの新興メディア・ソリューション事業が好調に推移しています。

■ Crypto Garageの戦略的パートナーBlockstream社の資金調達と事業成長

 2021年8月に、Blockstream社がシリーズBの資金調達を行い、企業価値が30億ドルの評価まで上昇しました。同社はサイドチェーン技術のみならず、ビットコインマイニング事業や関連金融事業が順調に進展し、Square社と再生エネルギーを活用したグリーンマイニング事業に進出するなど、暗号資産における総合ソリューション提供企業としてさらなる成長を見込んでおります。

 次に、暗号資産ビジネス(Crypto Garage)のハイライトをご覧ください。

(1)暗号資産交換業者として関東財務局への登録完了

 当社は2016年2月にBlockstream社に出資参画し、2016年7月にDG Labを発足してから、ブロックチェーン領域での重要戦略的パートナーと位置付け、同社と暗号資産の発展に寄与する事業開発を進めてまいりました。2018年9月には戦略子会社としてCrypto Garageを、当社、東京短資、Blockstream社にて設立、Blockstream社の持つビットコインサイドチェーン技術を活用する暗号資産決済事業に参画しました。Crypto Garageは本年6月29日に資金決済に関する法律に基づく暗号資産交換業者として関東財務局への登録が完了、現在法人間における決済事業の本格展開の準備を進めております。

(2)野村ホールディングスとの資本提携

 2021年10月、Crypto Garageは野村ホールディングスと資本提携を発表しました。本資本提携の狙いは、Blockstream社のサイドチェーン技術を活用した暗号資産決済事業の加速、野村ホールディングスの戦略出資先であるKomainu社(英国領ジャージー)と連携したデジタルアセットカストディ事業(暗号資産保管事業)の立ち上げを企図しております。中国ではデジタル人民元の導入により暗号資産が全面的に禁止になる一方で、米国を中心とした欧米諸国では様々な法令・規制を強化しながら、暗号資産を新たなアセットクラスとして取り込んでいく流れになりつつあり、この流れはますます加速していくものと思われます。野村ホールディングス、Komainu社との提携により、今後成長が見込まれる機関投資家や法人投資家からの暗号資産投資を安全にかつ迅速に行える世界観を実現し、グローバルで暗号資産市場の健全な成長を支えていきたいと考えております。

Ⅱ. 地球視点でESGへの取り組みを推進 〜“Moonshot”から“Earthshot”へ〜

 DGグループでは今年“Earthshot”を掲げ、地球視点でESGへの取り組みを推進することといたしました。本年8月、2005年の初開催から21回目となる「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2021 TOKYO」を開催し、IT革命の哲学的基礎になった伝説の雑誌Whole Earth Catalogの創刊者Stewart Brand氏をメインゲストにお招きし、“Earthshot” を宣言しました。
 コンセプトは「人類の振り子が月へと向かう遠心力から、かけがえのない地球へと向かう求心力へと切り替わり、グレートリセットされるESG時代の幕開け」です。コンセプトビデオをご覧ください。

 当社は日本初のシードアクセラレータープログラム「Open Network Lab」を通じて国内外のスタートアップエコシステムや起業文化を支えてきました。”Earthshot”を通じたESG関連スタートアップを支援する取り組みを紹介します。

(1)Earthshot TV + Web

 日本と世界のESG関連スタートアップ企業を取材し、アーカイブ映像をデータベース化するテレビとウェブをクロスオーバーした新しい取り組みで、ESG関連のスタートアップの活動を広く社会に発信し、次世代のESGアントレプレナーを支えます。

(2)Earthshotファンドを設立・運営

 ESG関連のソーシャル・アントレプレナーを当社のグローバルインキュベーションストリームのネットワークを活用し、地球視点でインキュベーションを可能にするファンドをスタートしました。

 これまでの活動の一部をリンクにまとめておりますのでご覧ください。

Ⅲ. フィンテックシフトとDG’s Vision

 最後に、今回の野村ホールディングスとの暗号資産領域での資本提携以外に、すでに発表しているグループ戦略<DGフィンテックシフト>の実現に向け、さまざまな戦略パートナーと次世代ビジネスに向け協議を進めております。
 既存の決済事業(PSP)をベースとし最新のフィンテック事業を社会実装する<連続的成長を目指すウイング>、非連続のテクノロジーを活用した暗号資産を日本発グローバルビジネスとして<非連続の成長を目指すウイング>、この2つのウイングでの「両利きの経営(Ambidexterity)」を目指します。
 期末に予定している来期の事業戦略発表時に、詳細なグランドデザインを発表します。当社グループのみならず、さまざまな領域の戦略パートナーと次世代DXビジネスを実現していくDGのフィンテックシフトにご期待ください。

 DGグループは、「持続可能な社会に向けた『新しいコンテクスト』をデザインし、テクノロジーで社会実装する」という企業パーパスを実現するために、これからもグローバル社会に貢献していきたいと思います。

 株主を含むステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


  1. Home
  2. IR情報
  3. CEO Comment Vol.74 『2022.3月期第2四半期決算サマリー[IFRS](連結)』