CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.72『2021.3月期第2四半期決算サマリー〔IFRS〕(連結)』

~IFRS(国際財務報告基準)適用後、過去最高の税引前四半期利益を計上~

 本日の取締役会での承認を受けて、2021年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕を発表いたしました。

 新型コロナウイルスによる影響は残るものの、2020.3期4Qをボトムに業績は大きく回復し、税引前四半期利益は過去最高を更新することができました。IT事業における保有株式の公正価値評価額がDX関連企業を中心に大きく上昇したこと、FT事業における決済取扱高が引き続き好調に推移していること等が主因となります。以下、連結業績サマリーです。

〔連結決算サマリー〕

 2021.3期第2四半期累計期間(2Q累計:4月~9月)の連結業績は、収益19,264百万円(前年同期比1.7%減)、税引前四半期利益は6,037百万円(同17.6%減)となりました。また、第2四半期連結会計期間(2Q:7月~9月)の収益は12,320百万円(同8.3%増)、税引前四半期利益5,632百万円(同10.2%増)と1Q(4月~6月)比大幅な収益増、かつ前年同期比でも増収増益を達成いたしました。
以下、各セグメントの決算ハイライトです。

<FT>フィナンシャルテクノロジー事業
 FT事業の2Q累計収益は、4,749百万円(前年同期比10.8%増)、税引前四半期利益2,101百万円(同3.3%減)となりました。決済取扱高は、1兆4,213億円(同20%増)、決済取扱件数は、3億300万件(同35%増)となりました。
 決済取扱高の内訳としては、インバウンド・旅行関連決済が大幅減少するも、デジタルコンテンツやEコマース等の巣ごもり消費の伸長により前年同期比20%増の1.4兆円と高成長を維持しています。また、コスト面では、主力2社のシステム統合投資を行い、中期計画達成に向けた24/365の国の重要インフラ指定企業として、システムの完全冗長化による、さらなる安定稼働に取り組んでいます。東芝テックと共同で行っているTDペイメント社を窓口とした決済事業も順調に伸長し、大手小売を中心に決済端末の導入が進み、取扱件数も数千万件レベルまで拡大してきています。PayPayが主導するかたちで市場が拡大しているQR決済では、OEM型としてPayPayを含むすべての決済に対応しています。一方、自社ブランドでクラウドペイ(マルチQR決済)では、ドコモ d払いⓇに続きKDDI au PAYを加え、有力キャリア・決済プレイヤー群との橋頭堡を構築し、中期でこの決済カテゴリーの市場構築に貢献しています。
以下、対面決済のスライドを御覧ください。

 当社グループの主力セグメントであるFTの中期計画のOverviewです。
2025年決済取扱高10兆円(CAGR:30%)を目指して、戦略的設備投資をベースに、継続して成長を維持していきます。

<MT>マーケティングテクノロジー事業
 MT事業の2Q累計収益は、6,591百万円(前年同期比10.4%減)、税引前四半期利益は256百万円(同74.5%減)と減収減益となりました。主力のデジタルアド事業の取扱高は増加したものの、コロナ影響による不動産販売広告が大幅に減少いたしました。来期以降に向けた大規模なコスト最適化に注力しています。一方で、新規事業への投資は継続しています。守ると攻めるの両ウィングで構造転換を急ピッチで展開しています。
以下、主要な新規戦略プロジェクトを記します。

1) まず、BI.Garageが行っている、日本で最初の有力メディア28社によるメディア横断型の「コンテンツメディアコンソーシアム」です。当プロジェクトは、世界同時に立ち上がっている対GAFA軸でのグローバルアクションです。最新のテクノロジーを活用し、参加コンテンツメディア横断での、コンテクスト(ユーザーの興味、クラスター文脈)でマーケティングを実現するという、個人情報に最も厳格なドイツで既にデファクトとなっている次世代型のアドプラットフォームです。年内に最新の提携リリースが発表する予定です。

2) 次に、不動産リーガルテックのゲートウェイ事業、「Musubell(ムスベル)」です。まず、野村不動産の新築不動産契約の電子化を実現しました。(第一弾として弁護士ドットコムが提供する「クラウドサイン」とのAPIを活用)今後更に、大手不動産・デベロッパー等への採用も内定しており、各社で採用しているSaaSソリューションに合わせたオープンなAPI接続を実現し、不動産業界のデファクトとなるように、グループをあげてプロジェクトを推進しております。今後は新築・中古・賃貸物件を全方位でカバーする不動産リーガルテック領域を確立し、不動産新常態における当業界の次なる発展に貢献していきます。

3) 次世代型のDOOH事業として開始したのが、美容サロンに特化したデジタルサイネージメディア「サキザキテルコ」です。全国約3,000店の美容サロンに18,000台を設置に向けて展開しています。特に、このターゲットでは、スマートフォンをゲートウェイにしたファッションやライフスタイル情報がフリー情報として多量に流通しており、新しいビジネスモデルの確立で、タクシーDOOHに次ぐ、大きなマーケットになることを確信しています。
以下が、MTセグメントの戦略Overviewです。

<IT>インキュベーションテクノロジー事業
 このセグメントも良い意味で予想が外れ、期初、保守的に10%程度の減損リスクを発表していましたが、逆にIT事業の指標であるバランスシート価値/営業投資有価証券残高は、2Q末時点で40,585百万円と前期末比11%、4,038百万円の増加となりました。2Q累計の収益は、5,658百万円(前年同期比42.6%増)、税引前四半期利益4,988百万円(同51.9%増)と保有営業投資有価証券の公正価値評価額が大幅に増加しました。グローバルで株式市場及びIPO環境が平常化、スタートアップを取り巻くファイナンス環境も回復軌道に乗り、特に米国のDX/Fintech企業の企業価値が大きく上昇し、アジアでのEC関連企業も成長が続いています。今後もグローバルポートフォリオを戦略的にリージョン及び企業の成長ステージにおいて最適化しバーベル投資戦略を基本とし、創業より25年間かけて構築したネットワークを活用し、グローバル・ビジョンでの投資エコシステムを構築してまいります。

<LTI>ロングタームインキュベーション事業
 LTI事業の2Q累計収益は、2,105百万円(前年同期比46.4%減)、税引前四半期利益は605百万円(同75.1%減)と大幅な減収減益となりました。

1) 持分法適用会社カカクコムの業績が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、食べログ事業が大幅な減益となったことが主要因となります。しかしながら食べログ事業は、Go To Eatキャンペーンの影響もあり2Q末でサイト経由の予約件数が対前期比プラスに転じ、直近は前年の3倍程度と着実に回復してきております。

2) また、中期的な成長事業として、ブレインスキャンテクノロジーズ社(100%子会社)は、2015年から運転事業者を中心に脳MRI事業を推進しており、脳MRI受診件数は10月に累計3万件を突破し、今期で黒字化を見込みます。今後はAIとの連携を通じ、バイオヘルスカテゴリーの主力事業へと成長させていきます。
以下、スライドを御覧ください。

3) Crypto Garageは、内閣府フィンテックサンドボックス第一号事業として、実証実験を経て、正式商用化開始に向け、国内外の有力暗号資産取引所とのシステム接続も終え、いよいよグランドオープンのカウントダウンフェーズです。又、関連事業として、STO(セキュリティトークンオファリング)領域での実証実験も始まります。
以下、スライドを御覧ください。

 2016年に始動したDG Labは、第2ステージへと進化しています。ブロックチェーン領域では、グローバルでの暗号資産決済事業、金融業界向け暗号資産システムの構築を継続して進めていきます。バイオヘルス領域では、ブレインスキャンテクノロジーズ社が展開する運転事業者向け脳MRI事業をベースに、脳のビッグデータとAI活用によるデータ連携事業の開発を推進中です。AI領域では、DG Lab協賛パートナーの保有データを基盤にした次世代事業創出、DX視点では異業種データ連携を促進する深層学習ベースのクラスタリング技術の活用を通じた、次世代データ流通基盤も構想中です。またDG Labの5分野を投資領域として展開するDG Daiwa Venturesは、「DG Lab2号ファンド」を約125億円でクローズし、DG Lab1号ファンドとあわせて総額約200億円のファンドとして、グローバルの有力なスタートアップ企業への投資・インキュベーションを精力的に展開していきます。実践的R&D機能と投資機能の両面を有する国内を代表するテクノロジーラボへと成長してきています。

 引き続き、世の中の役に立つ「コンテクスト」を創る会社として、4つのセグメントの事業基盤をベースに、次なる5年に向けて「Designing our New Normal Context」のコンセプトのもと、継続してグローバル社会に貢献して参りたいと思います。

株主を含むステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。


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