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林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.53 『インキュベーション・エコシステムのベースとなる グローバル決済プラットフォームの構築について』

 昨日、デジタルガレージ(DG)はSBIホールディングス株式会社と、決済サービス事業を手がける同社の完全子会社であるSBIベリトランス株式会社の買収について合意しました。弊社の決済サービスであるイーコンテクスト事業と合わせると年間取扱高が3000億円を超え、導入事業者数が5万以上、年間決済売上高が110億円となり、ネット系決済サービスでは国内最大級の事業規模になります。

 2000年に立ち上げたイーコンテクストによって始めたDGの決済インフラ事業は、広告/プロモーション事業と並ぶ「Enabling Platform」として、目立たない存在ながら着実にDGの収益を支えてきました。この収益基盤をベースとしてTwitterやPathを始めとした時代の先端を行くサービスの投資・育成事業を展開することが、DGのビジネスモデルとなっています。

 こうしたDGの収益を支える決済インフラ事業を拡大すると共に、DGのビジネスモデルのグローバル展開を図るには、ベリトランス社をDGグループに迎えるのが最適と判断したことが、今回の買収の理由です。

 背景には、スマートフォンの急速な普及などをきっかけとした決済サービス市場の変化があります。電子マネーやクレジットカードを中心にリアルスペースと、サイバースペースの決済サービスの融合・シームレス化が加速し、決済サービス事業者、クレジットカード会社、携帯電話事業者に加え、Google社やApple社などのグローバルプラットフォーマーや半導体メーカーまでもが次世代の覇権を争う、いわば「決済大航海時代」に移行しつつあります。

 こうした中で決済インフラ事業を伸ばし続けるには、イーコンテクストと事業的に補完関係にあるベリトランス社との事業統合がうってつけでした。具体的には、ベリトランスは、業界の中で圧倒的な価格競争力を備える最新システムを持ち先進的なサービスで日本のインターネット決済市場を牽引してきました。また、クレジットカード会社と導入業者の間で決済データを媒介する決済処理情報サービス事業者としても抜きんでた存在です。これに対して、コンビニ向けの決済事業からスタートしたイーコンテクストは、現金決済のパイオニアであり取扱件数もノウハウも豊かです。この2つの事業を統合することで、決済大航海時代の波に乗り、事業を拡大する体制が整います。

 ベリトランス社は中国をはじめアジア地域にもいち早く進出していることから、DGのビジネスモデルを支えるEnabling Platformをグローバルに展開する原動力にもなります。例えば、有望なスタートアップに投資しその事業を育成しながらアジア地域で展開する際に、自社で決済プラットフォームを用意することで収益機会を最大化できます。

 今後DGは、このグローバルな決済プラットフォーム上で、日本に加えアジア/米国の両ウイングでのインキュベーション事業を拡大展開していきます。アジアに広いネットワークを持つSBIホールディングスと、北米の投資家ネットワークに強みのある弊社が協力することで、グローバルな投資ファンドを共同で設立することを今後検討していきます。

 グローバルなインキュベーション・エコシステムの構築を目指してDGグループは邁進してまいります。株主・投資家の皆様には、引き続きご指導・ご支援を頂けますようお願い申し上げます。


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