CEO Comments CEOコメント

林 郁

代表取締役 兼
社長執行役員グループCEO

CEO Comment Vol.50 『平成23年6月期業績予想修正とオーバービュー』

 本日の定時取締役会で承認の上、平成23年6月期業績予想修正(PDF)を発表いたしました。

 「Social Media Incubator」というコーポレートスローガンを掲げ、昨年5月に発表しました中期3カ年計画の初年度にあたる今期業績は、ハイブリッドソリューション事業とベンチャーインキュベーション事業が好調に推移した結果、営業利益が黒字転換し、経常利益は期初予想の5億円から9億円へ、当期純利益は3.1億円の予想から8億円へとそれぞれ上方修正いたしました。DGのビジネスモデルとして掲げてきた「Enabling Platformを基盤とした新たなインターネットビジネスの創造」が、市場環境の変化と共に本格的なソーシャルメディア関連事業の、拡大ステージに踏み出したことを実感しています。

 以下、事業セグメント別の概況説明です。

【1】ハイブリッドソリューションセグメント
広告・ソリューション事業は、DGが標榜してきた「フローのマーケティングからストックのマーケティングへ」というコンセプトが、グループとして注力してきたリアルタイムWeb技術の活用と相乗効果を発揮したこともあり、得意先企業の皆様から高い評価をいただくようになりました。この結果、今期は前期比20%増収ペースでの好調な推移を見せております。決済ソリューションについても、ゲーム業界、旅行関連業界向け好調に加え、スマートフォンの台頭が象徴するプラットフォームの多様化の流れがビジネスチャンスの拡大につながっております。また、グループ会社の株式会社カカクコムと共同で始めた「価格.com安心支払いサービス」も順調に拡大しています。

【2】メディアインキュベーションセグメント
Twitter関連事業については、東日本大震災による広告自粛と、PC版のTwitterサイトの機能や広告表示スペースが新たなものに切り替わった影響で、広告販売が一時的に伸び悩みましたが、予定より早く回復基調に入り、本年5月には過去最高の売上を計上する見通しです。また、このセグメントで従来行ってきた携帯電話関連事業(株式会社DGモバイル)を本年2月に整理したことにより、期初予算未達の見込みとなりました。しかしながら、本年2月に出資した米Path社が手がけるスマートフォンを活用した新たなコンセプトのソーシャルメディア事業や、新設会社(株式会社ウィール)等を軸とした戦略事業への着手も順次始まっています。このほかにも、Twitter社と協力して始めた公共機関のTwitterアカウントを紹介する取り組みである「Jガバメントon Twinavi」や、自社開発の企業向けマイクロブログサービス「BirdFish」といった新たなSNS関連ビジネスの準備を進めており、セグメントでの成長ポテンシャルは高まっていると実感しています。

【3】 ベンチャーインキュベーションセグメント
ベンチャーインキュベーション事業につきましては、ここ数年をかけて取り組んできた国内投資からシリコンバレーを中心とした海外投資への事業シフトの成果が出てきております。特に米国市場ではインターネット企業を中心に未公開株式の流動化が進み、投資回収の新たな手段として利用する環境が整いつつあります。こうした時代の流れを追い風として、当初予定していた4Qでの株式売却が期待以上の評価で実現するなど好環境を享受しております。5月18日にニューヨーク証券取引所に上場したLinkedIn社の株価が、公開当日に公募価格の約2倍に上がったことが象徴しているように、本年はソーシャルメディア企業のIPO元年に位置づけられる記念的な年になると思います。

■来期の見通しと今後の戦略骨子

中期3カ年計画の初年度にあたる今期業績は、予想を上回る結果を残せそうですが、来期以降の見通しと戦略について改めてコメントいたします。
中期計画の目標数値(2013.6期)である連結経常利益50億円、連結ROE25%以上、メディア・インキュベーション事業の営業利益構成比50%以上に向け、来期は本格的成長に向けての基盤造りの年と位置づけています。

 来期以降の事業については、現状の事業を拡大させると共にTwitterの日本展開などで蓄積してきた知見をもとに、ユーザーの実生活に根ざした次なるソーシャルメディアの展開をより一層加速させていきます。また新たな戦略事業も鋭意準備中です。

 また、日本市場におけるマーケティング支援を発表したLinkedIn日本語版は、Twitterに続き、その成功が日本のソーシャルメディアの分水嶺になるものと確信しています。
DGは、2007年に創業者のReid Hoffman氏をアドバイザリーボードに招いて以来、LinkedIn社と良好な関係を築いて参りました。2011年に入ってLinkedIn社が、世界市場に向けた事業拡大を継続する上でいよいよ日本市場が重要になると判断したことが、DGと今回の合意に至った背景にあります。今回の合意に基づきDGは、仕事を離れたオフの際にもっぱら利用する既存のソーシャルネットワークとは一線を画した、プロフェッショナルな人材を有機的に結びつけるネットワークとしてLinkedInを日本に定着させるためのマーケティング活動を推進し、実名で登録する欧米型のプロフェッショナルネットワークの市場を開拓します。

 先日発表させて頂きました通り、DG共同創業者の伊藤穰一がMIT Media Labの所長に就任しました。伊藤が自身のブログでMedia Labにおける自分のミッションの一つを「私自身のネットワークをMedia Labと結びつけること」と言っている通り、今後はDGもユーザーの実生活に根ざしたソーシャルメディアの未来を占うための研究活動への協力を通じて、Media Labに貢献していく予定です。すでに有力投資家との緊密な連携関係を構築しているシリコンバレーを中心とした米国西海岸や、アジアの拠点であるシンガポールのネットワークに、新たにMedia Labを拠点とした米国東海岸のネットワークが加わることになります。

 20世紀の日本の発展を支えた日本型ビジネスモデルが変容を迫られている昨今、日本とシリコンバレーやMITのあるボストンや、アジアの拠点であるシンガポールをつなぐ新たなコンテクストを創造し、次のインターネット技術や事業を育んでいける「夢のあるDGエコシステム」を構築しようと考えています。その結果、日本独自の文化や技術の特徴を生かした次世代型のグローバルインターネット事業を生み出せると確信しています。

 株主・投資家の皆様には、引き続きご指導・ご支援を頂けますようお願い申し上げます。


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